Wednesday, December 13, 2006

移民の帰郷物語-故国スロヴェニアに帰りて



14 歳で単身移民として渡ったアメリカ合衆国から、19 年ぶりに故郷スロヴェニアに帰る。アドリア海のブルー、やさしい春の風、旧き良きフォークロアの数々、なつかしい母の姿……。
 1932 年に「ハーパーズ・マガジン」誌に掲載され全米の読者からの大きな反響を得た移民の帰郷物語。原題『The Native's Return Part One: Home Again In Carniola』の翻訳書です。ルビ付きですので、児童でも読むことができます。

   『故国スロヴェニアに帰りて』

   著者 ルイス・アダミック 
   翻訳 田原 正三


 祝宴は夕方まで続いた。林檎の花びらが微風にのって、テーブルの上や、客たちの肩に舞った。テーブルの周りは、明るい開放感が満ちあふれ、陽気なおしゃべりが往き交った。囁き声はここでは必要なかった。
 やがて、村人たちと文学者たちは、愛とワインと美しい自然を織り込んだ、スロヴェニアの国歌を合唱しはじめた。
「わたしの母もここにいたらよかったのに!」と、ステーラはすっかり感激の面持ちだった。「それに弟も、セレンも、メタも……」アメリカの身内や友だちの名をあげた。
「ベンと、キリーと、ケアリーも……」私は私で自分の友人を数人あげた。
 歌声がやむと、詩人の一人がグラスを片手に立ち上がった。私たちはみな黙って、詩人の口元に注視した。詩人はこの麗しい午後のひとときを、山から吹きわたるそよ風や満開の林檎の木を、料理を、そしてグラスの中のワインを、表現ゆたか謳いあげ、さらにはブラト村と村人たち、とくに私の父と母に感謝の言葉を述べ、ふたたび村の周囲にひろがる草原や自然の素晴らしさにまで言及した。そして最後に、私のそばに歩みよって、アメリカへ旅立ったころからこのたびの帰郷に至るまでの物語を語ってくれた。私にはもはや返す言葉はなく、感激の涙を押さえきれなかった。
 詩人は結んだ。
「さあ、グラスを飲み干そう!」
 グラスが飲みほされ、そうしてみんなして歌いはじめるのだった。

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移民の帰郷物語-故国スロヴェニアに帰りて
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